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20R ニューホープ後編まり……、沙希さんを差し置いて、私がメインイベント!? ……という訳で、これまたあがり症の私にとっては、絶対何か起こりそうな、素晴らしく絶好の機会ではなかろうか。 沙希さんが、私と中谷さんの肩に手を置きながら 「このシリーズ、コケるか大成功に終わるかはあなた達二人にかかってるんだから、頑張ってね」 と笑顔で話し掛けてくる。お願いだからそんな目で見ないで下さい……。 「愛ちゃん、今から試合が終わるまで、私達はアカの他人だからね」 あの中谷さんが珍しく眼光鋭い目で言った。その言葉に私は思わず反射的に睨み返す。 「いえ。中谷さん、アカの他人じゃありません。倒すべき敵です」 「……解った。じゃあ、メインのリングで」 私と中谷さんは、お互い背中を見せ、振り向く事無くそれぞれの控室に向かう。 そうだ。メインの重圧とかそういう事はあえて忘れよう。今はただ中谷さんと戦う事だけを考えるんだ。それがたまたまメインイベントだという事だ。もしこのシリーズがコケて終わるようなら、私や中谷さんはまだメインを務める器ではなかったというだけの事。そうなったらそうなったで、最高の“凡戦”を見せて |
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