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18R ニューホープ前編この試合で、観客席のファンだけでなく選手たちまでもが信じられない光景を目の当たりにした。試合開始直後、リング中央でいきなり一本背負いからの腕ひしぎ逆十字固めが炸裂したのだ。それも、“中山先輩”が。 言うまでも無く、一本背負いから腕ひしぎという流れは中谷さんの十八番だ。それを逆にやられたのだから驚くなと言うのは無理というもの。 中谷さんは腕を極められたまま中山先輩を引きずって、なんとかロープエスケープに成功。自分の必殺技だからこそ脱出に成功したようなもので、普通なら間違いなく秒殺となっていただろう。 中谷さんの顔を見ると、「危ない危ない」とばかりに舌をペロッと出していた。お株を奪われたのだから、普通はもっと動揺するはずじゃないかと思うだろうが、これが中谷さんの動揺した姿だったりする。実際、中谷さんはこれで試合の流れを中山先輩に奪われて、それを取り戻せないまま試合終了のゴングが鳴ったのだから。 時間切れ引き分け。 試合の主導権を全く握れなかったのにこの結果なのだから、ある意味勝利に値する引き分けとも言える。試合終了後の中谷さんと中山先輩の表情が対照的に見えた。中谷さんは「やれやれ終わった」という感じで胸を撫で下ろしているのに対して、中山先輩は攻め切れなかった悔しさがその顔に滲み出ていた。 前回のニューホープの反省を踏まえて、今回は短期決戦シリーズとなった。出場選手の人数に対してシリーズの日程が長すぎたため、日によっては公式戦が組まれていない選手もかなり出ていたのだ。 |
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