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17R ベルト流出

を中谷さんもよく解ってるからこんな言葉が出たのだろう。


 タイトルマッチは、基本的にはコミッショナーのタイトルマッチ宣言などのセレモニーが行われてから試 合が始まる。外人との試合の場合に限って、その前に両国の国歌を流したり、という事もある。しかし、 今日は日本人同士の対戦にありながら、団体対抗戦の大トリという舞台を演出する為か、君が代が流 された。バックステージの真ん中に日本国旗の日の丸、その右にNJWP、左にジャパンレディースの団 体旗が掲げられ、観客全員、それらの旗に向かって起立する。
「まるでボクシングのタイトルマッチみたい」
 と私が呟くと
「何言ってるの。今でこそプロレスはショーだ、八百長だ、なんて言う人がたくさんいるけど、ボクシング を引き合いに出すまでもなく、プロレスにだって本来はこのくらいの緊張感があるべきなのよ」
 と中谷さん。言われてみたら確かにそうだ。

 そして、ゴングの音が高らかに響き渡った。
 リング上で展開されたのは、一言で言うと“スパーリング”だった。
 プロレスならではの試合展開も、根っこの強さが必要。だから地力を付けるために道場の練習ではス パーリングにかなりの時間を費やす。そして、スパーリングは本来は禁じ手などない、極限の戦いだ。 現在NJWPでは組み技のみでスパーリングしている。関節技などは折れる前に「参った」すればいい が、打撃は一発危ないのが入ったら大怪我に繋がるからだ。けど、沙希さんが新人だった頃は打撃も
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