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15R 対抗戦前夜「なんスか?」「私や中谷さんの相手になりそうなジャパンレディースの選手って……?」 「石石コンビと言われてる若手二人、石破茂美っていうのと石浦貴美子、かな? 石破選手は身長が170センチ近くある大型選手だから山神さんの相手、石浦選手は150に満たないくらい小柄だから中谷さんの相手になると思うッス」 石破選手と石浦選手……かぁ。 「ところで、話は変わるッスけど」 「え? なに?」 「ホワイトデーは何が欲しいッスか?」 話は変わるという言葉どおり、全く完全に脈絡の無い話題に面食らってしまう。 っていうか、私、タッちゃんにチョコなんてあげてないし! 「ちょっと待ってよ、私とタッちゃんの関係は、レスラーとそのファンだよ。チョコもあげてないのにホワイトデーに何か貰うなんて出来るわけないでしょ」 その言葉にタッちゃんはにっこりと笑みを浮かべて、鞄の中から数週間前のプロレス雑誌を取り出した。そしてページを開き、私に見せる。そこには私のでっかい顔写真と「あなたの応援が私を強くしてくれる」という、読んだだけで鳥肌が立つような恥ずかしい歯の浮く見出しがあった。 ……そういえば、プロレス雑誌のバレンタイン企画で、女子レスラーから読者にチョコのプレゼント、というのがあったな。で、NJWP若手代表として私が選ばれたんだっけ。面白そうな企画だし、せっかくだからちょっと奮発しようと思って、いわゆる「ベルギー王室ご用達」っていうのを買って、雑誌社の編集部 |
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