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15R 対抗戦前夜

に顔を出したら、同じ企画でジャパンレディース姐御代表として選ばれた長谷川さんとばったり顔をあわせてしまって気まずい思いしたっけ。ちなみに恥ずかしい見出しのコピーは、言っておくけど私が考えた言葉なんかじゃない。編集の人が勝手に作ったものだ。プロレス雑誌を買わない私にとっては、いま初めて知ったコピーだ。知ってたら変えてもらうように絶対言ってる。
 ……つまり、ということは……?
「タッちゃん、プレゼントに当選したの!?」
 タッちゃんはにっこりと頷いた。
 頭がクラクラしてきた。こんなコンディションでは試合なんて出来そうに無いほどの激しい頭痛だ。せっかく肩も直ってお医者さんからは試合に出てもいいとゴーサインが出たばっかりなのに。
 私はタッちゃんをその場に残したまま、フラフラと会場入りした。
 控室に入ってから、リングドクターをつかまえて相談した私だが、この頭痛は精神的なもので体は全く異常無しと言われた。当然といえば当然だけど。


 その日、私は自分の試合が終わった後、会場を抜け出した。プロレス雑誌を買うためだ。

「すみません、いま戻りました」
「どこ行ってたのよ。愛ちゃんがいないお陰で沙希さんの付き人の仕事は全部私にきたんだよ〜」
 会場に戻るといきなり中谷さんに噛み付かれた。すぐ後ろに沙希さんがいるのも知らないで、沙希さ
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