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15R 対抗戦前夜

ずの事なんだけど……」
「なに? なんスか!?」
 急にタッちゃんの目がキラキラと輝きだした。
「確かに水面下での交渉はやってるよ。ただ、どこまで話が進展しているのか、もっと言えば対抗戦が本当に行われるのかどうかもわかんない。だから、会社としても発表したくても発表する事が何一つ決まってないから発表できない、というのが実情なんじゃないかな。いま発表したとしてもウチの沙希さんとジャパンレディースの長谷川さんの試合しかカード発表できないし。日時や会場なんてまだまだ全然決まってないよ。たぶん都内だとは思うけど」
「そうッスか……」
 タッちゃんはそう言うと目を閉じて腕組みした。
「これはたまたま耳にした事だから、沙希さんも私が知ってるって知らないのよ。それに沙希さんから教えてもらってたとしても同じような内容しか話せないと思うよ。本当に現時点では白紙状態の方が多いの」
 タッちゃんは私の言葉に目を開けてニヤリと笑った。
「でも白紙が多いって事は逆に言えば何が決まるか解らない、それこそ期待度未知数のイベントになる可能性もあるって事じゃないッスか? たとえば山神さんもNJWP代表の一人としてジャパンレディースの選手と戦うかもしれない、とか」
「私も対抗戦に!?」
 私は首をブンブン横に振った。
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