もどる |
15R 対抗戦前夜を打破したいという部分で一致している。大島社長がジャパンレディースを「馬の骨」と言ったり、それを受けて青野さんが記者会見を開いたのも、対抗戦をしようという考えが両社長の間ですでに纏まっていたからなのかも知れない。そうでないと、大島社長がかつてのライバルである青野さんの団体を指して「馬の骨」と言ったのは、どう考えても解せない。そう、NJWPとジャパンレディースの対抗戦はファンの注目を集めるという目先の利益だけを求めているわけではないのだ。よりレベルの高い試合を『自称プロレスラー』に見せ付けるための、業界全てを巻き込んだ革命でもあるのだ。それだけに正式に発表するにはよほど万全を期す必要がある。場所も日程も決まってないうちにマスコミにあることないこと書かれたら全てが水の泡だ。だからこの件に関わっているのは現段階では両社の社長と数人の社員、選手ではNJWPの沙希さんとジャパンレディースの長谷川さんの二人だけだ。私? 私は知らないんだってば! 沙希さんも私は何も知らないと信じてるからそうなんだって!! 「だから、なに口をパクパクさせてるんスか?」 不意にタッちゃんに声をかけられて私は我に返った。かなり長時間、自分の世界に入っていたような気がする。 「だから……、そのう……」 「本当に何も知らないんスか?」 どうやら私は嘘がつけない人間らしい。 「……今から言う事は、選手の中では沙希さんしか知らないって事になってる、本当は私も知らないは |
前ページ 次ページ |