もどる |
15R 対抗戦前夜何をメールしているかは言うまでも無く、対抗戦についてのことだ。マスコミに嗅ぎ付かれないようにするにはどうするか、などを二人で一生懸命考えてるのだ。もっとも、二人とも興行だの日程だのについては素人なので、話し合えば話し合うほど混乱していき、結果は出そうにない。沙希さんは確かにマッチメーカーという要職に就いてはいるけど、あくまで現場の側の人間で、経営サイドの人間ではないのだ。ただ、少なくとも、対抗戦の一ヶ月前には発表する、というのはお互い共通した意見だ。理由は簡単。見に来てくれるファンの都合を考えての事だ。たとえば極端だけど、いきなり明日対抗戦すると言ったら、見に行きたいけど無理だ、というファンも多いだろう。 また、二人の意志は「本物を見せる」という部分で一致していた。今のプロレス界は、多団体時代と言われている。それほど団体数が多いわけだけど、その中には、体もろくに出来上がっていない『自称プロレスラー』のようなのが堂々とエースを名乗ってる団体も少なくないのだ。もちろん、二人とも「本物」を見せれるだけの実力者であるのは言うまでも無い。 さらには、対抗戦を行う事による経済効果についてまで。NJWPのファンがNJWPの選手を見たくて対抗戦に足を運び、そこでジャパンレディースの選手と出会い、こっちもいいじゃないかと思ったとする。そうしたらジャパンレディースの興行も見に行くことになる。逆もまたありえる。そうすることで、お互い利益が生まれる。そう考えると、会社対会社では共存共栄を図るわけだけど、ファンにはあくまで潰しあいという緊迫感を見せる。口で言うのは簡単だけど、これが難しい。いくら選手が「やってやる!」と叫んだところで、会社側の意思がファンに見えてしまったら、しょせん仲良し興行だ、と白けてしまうからだ。だから会社の考えはマスコミはもちろん選手にも伝えない。「この対抗戦で相手の団体を消すつもりで行け」 |
前ページ 次ページ |