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14R シュートとセメント「ジャパンレディースって言ったら、NJWPから見たらよそ者じゃないですか。このまえの道場破り同様、 ぶっ潰しますよ」中山先輩のこの言葉がハッタリでも強がりでもない事は私が一番良く解っている。身内である私にま で潰しを仕掛けてきたんだ、よそ者を潰すのに何のためらいも無いだろう。 「愛ちゃんは?」 沙希さんが私に振ってきた。 「あ、えーと……。私に見合う相手ってことは、世代的に同じくらいの選手ですよね。団体は違いますけど、同年代のレスラーとして、お互いの技術を正々堂々と競い合いたいです」 「なるほどね。片や試合がかみ合わなくても潰す、片やかみ合う試合を目指す、か」 対抗戦というのは、お互いの面子がかかってるだけに、どうしても殺伐とした雰囲気が漂う。中山先輩の考えはその象徴と言ってもいい。でも、私はそういう考えにはなれなかった。先日中山先輩の潰しにあったばかりだというのに、どうしても潰し合いという気持ちにはなれない。もちろん、相手が潰しにきた時のために、それに対抗する技術を身に付けなければいけないという事は身に染みて解ってるけど、自分から仕掛けようなんて全く考えの範疇外だ。 この時、私と中山先輩は知らなかった。対抗戦に若手枠の試合が二つ計画されていて、そのうちの一試合のNJWPの選手は内定していた事を。そして、もう一つの試合に出場するのは私か中山先輩だという事を。さらには、私と中山先輩、どちらにするかを決めるために沙希さんが食事に誘ったのだという事を……! |
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