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14R シュートとセメント不意に攻撃が収まった。倒れている私をレフェリーがダウンと見て、中山先輩をコーナーに下げさせてダウンカウントを取り出したのだ。でも今の私には、レフェリーが数をかぞえている事など気付く余裕は無かった。もし気付いてたとしたら、そのまま立ち上がらずに寝たままのノックアウト負けを選んでいたと思う。私は立ち上がって“しまった”。三たび、中山先輩がドロップキック。的確に私の左肩に照準を定めている。私は思わず、側にいたレフェリーを引き寄せ、中山先輩の攻撃を防いだ。レフェリーを盾にしてしまったのだ。 レフェリーは苦痛に顔を歪めつつも、私に対して凄い剣幕でなにやら言っている。盾にした私に怒っているようだった。そのとき私の頭の中で何かが閃いた。 レフェリー暴行による反則負け レフェリーには悪いけど、早く終わらせる為に協力してもらおう。普段の私だと、誤ってレフェリーに攻撃が当たってしまったときなどはオロオロしているのだけど、このときは、何のためらいも無く“レフェリーに”攻撃を仕掛けようとしていた。それほど追い詰められていたのだ。これで私は反則負けが宣せられ、この苦痛から解放される。しかし、私の蹴りが当たる寸前で、中山先輩がレフェリーを突き飛ばして助けた。 リングアウトもだめ。反則もだめ。私は完全になす術を失ってしまった。 |
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