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14R シュートとセメント中谷さんが言った。その言葉どおり、中山先輩は女の人を寝技で面白いように弄んでいた。そこに沙希さんが、誰かから知らせを受けたのか、慌てた表情で道場にやってきた。沙希さんはリングの様子を見ると、コクリと頷き、リングサイドに陣取った。 「ほうら、これで終わりだ」 中山先輩が言いながら女の人の左腕にアームロック。完全に極まっている。しかし、女の人は痛みに顔を歪ませながらも参ったをしようとはしない。 「なに我慢してんだよ。参ったって言ってみな」 しかし、女の人は首を横に振った。 「折れるぞ! いいのか!?」 中山先輩が大声を上げるが、女の人はギヴアップを頑なに拒否。 「どうなるんですか?」 私が聞くと、困惑の表情で 「この状態から脱出は不可能。でも参ったしなければ負けにはならないわけだよね。このまま根負けして技を外してしまったら中山先輩でも危ないよ」 と中谷さんが答える。 中山先輩はチラとリングサイドの沙希さんを見た。沙希さんは目で「いけ」と合図する。中山先輩は小さく頷くと、締め付けをさらにきつくした。 ま・まさか…。 |
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