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13R 他団体

「多分ねぇ、森さんって、レスラーのタイプとしてはパワーファイターではなくテクニシャンでしょ。腕相撲ってテクニックも必要ではあるけど、見る人からは技より力って映るじゃない。自分が優勝する事で、いわゆるパワー系の選手の面目を潰したら悪いと思って辞退したんじゃないかな。それにファンにテクニックだけでなくパワーも超一流だと誤解されたくないってのもあるだろうし」
 いまいち納得しきれないけど、なるほどと思っておくことにしよう。

 その後、あっち向いてホイ大会が行われる。これはもう技とか力ではなく運の勝負だから森山さんも出場した。しかもどんどん勝ち進んでいく。
「運とか偶然なんて私は信じないからね。私が勝つべくして勝ってるのよ」
 森山さんがにっこりと言った。
「どういうことですか?」
「相手のクセとか状況判断とかで、あっち向いてホイなんていくらでも勝てるよ」
 確かに、常に冷静沈着な森山さんならこんなのはお手の物かもしれないな。
 そして準々決勝。森山さんの相手はクセが全く読み取れない中谷さん。
「運なんて信じないって言うの取り消すわ……。園子ちゃんとの試合、本当に運だけで勝てた……。セオリーが全く通用しないなんて……」
 辛勝した森山さんが苦笑した。
 そして準決勝。森山さんの相手は常識では考えられない行動しかできない晶ちゃん。
「……負けた……」
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