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12R バトル・ロイヤル

「選手が私たちだけになるまで回れる?」
「やってみます……」
 今思えば、なんでこんな答えをしてしまったのだろう。私と中谷さんの二人だけになるまで延々と回り続けなければいけないのだから。

「も・もう……、ダメ……」
 精根尽き果てた私は中谷さんと仲良くリング中央でおねんね。せっかくここまで頑張ったのに(ただの一度も戦ってはいないけれど)、ここまでだ……、と思ったけど、誰も私や中谷さんに覆い被さってこない。
「ワーン、ツー……」
 レフェリーのダウンカウントを数える声が聞こえた。そうか、わざわざフォールするまでも無いと皆思ってるんだな。
「テン!」
 案の定、私も中谷さんも立ち上がれないままダブルノックアウト。と、ここで観客席の方からざわめきが聞こえた。
「こういう場合どうなるんだ?」
 とか言う声が私の耳に飛び込んでくる。


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