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11R 大技道場の片隅で呆然としていないで黙々と自主トレしている森山さんに「森さん、あれ、一体どういうことですか?」 と沙希さんが聞くが 「え? 何かあったの? 私ずっと一人で練習してたからリングなんて見てなかったよ?」 と一言。いつもこの人は完全マイペースだ。 なおも沙希さんは、呆然としている先輩たちの肩をゆすりながら 「何があったのよ!?」 と聞いて回るが、全員恐怖に顔を引きつらせながら首を力なく横に振るだけだった。 私は、森山さん同様全く呆然とはしてないで柔軟運動をしている中谷さんに 「中谷さん? 晶ちゃんと橋田先輩、何があったか見てましたか?」 と、あまり期待しないで聞いてみた。 「見てたよ」 中谷さんが平然と答えるので沙希さんも駆け寄ってきて 「どうしたの!?」 と聞く。 「晶ちゃん、基本も何も出来てなくて、言ってみればただの子供のケンカみたいなことやってて、たまたまブンブン振った手、なんていうのかな? 駄々っ子パンチみたいなのが橋田先輩の鳩尾に直撃したんですよ」 |
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