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11R 大技

「あのバカ、以前一日中スクワットしてた事があるでしょ。あの体力が嘘じゃなかったら、たとえ技とか何も知らなくても怪我はしないかもと思ったのよ。関節を完全に極められてもギヴアップしたら問題は無いし」
 と沙希さんが言う。
「あ・あの、そういえば、私、ギヴアップの仕方は教えてなかったような……」
 沙希さんは一瞬『まずい』という表情をしたが、
「だ・大丈夫。トモちゃん(橋田先輩)も馬鹿じゃないから怪我しそうになったら放す……よ……多分……」
 と言った。

 道場についた時、私と沙希さんは信じられない光景を目の当たりにした。
あ〜、疲れたぁ
 と言っている晶ちゃんの足元に橋田先輩がぶっ倒れていたのだ。
 道場にいるほかの先輩たちも目を点にして呆然としている。
 沙希さんは慌ててリングに上がると、橋田先輩を抱き起こし
「一体どうしたの!?」
 と聞くが、橋田先輩は
「つ・つおい……」
 と一言だけ言うと、ガクッと失神した。
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