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10R プロ「さっすが沙希さん。言うことがキツイねぇ」「感心しないで下さいよ。本気で悩んでるんですから」 中谷さんは 「愛ちゃん、私からもキツイこと言ってもいいかな? 愛ちゃんの試合、見ていて危険で危なっかしいよ」 と言いながら腕組みをした。 「どういうことです?」 「愛ちゃんはまだまだ下手くそだよ。でも、それは仕方がない。問題なのは、その下手なのが中途半端に試合してるって事。プロレスで怪我をしない一番の方法は、相手の技を正面から受ける事だよ。愛ちゃん見てると、腰が引けてるのか変な角度で技を受けてて、いつ怪我するかと冷や冷やしちゃう。愛ちゃんが技をするときも同じ。中途半端に変な形で技をしてるから、相手の先輩も危ないね。このままだと、いつか必ず愛ちゃんも怪我するし、相手にも怪我させちゃうよ」 中谷さんはこう言うと 「ま、もう遅いから寝よ。おやすみ」 と言い残してベッドに入った。 私は沙希さんと中谷さんの言葉の意味を考えているうちに、一睡も出来ないまま夜が明けた。 次の日の沙希さんと中谷さんは、いつもどおりの二人だった。相変わらず中谷さんがボケては沙希さんが突っ込む、そこに私と晶ちゃんが加わるという形になっていた。でも、私は顔では笑っているものの、夕べの事が頭に残っていた。 |
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