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9R デビュー戦とリングアナウンサーの真似。「わー！ いいぞー！」 パチパチパチ！ 他の先輩たちも歓声やら拍手やらで観客の真似をして乗ってくる。 「青コーナー、178センチ67キロ、山神ー、あーいー！」 思わずペコリとお辞儀をしてしまった。 「赤コーナー、161センチ65キロ、橋田ー、ともーこー！」 カッコよくポーズを決める橋田先輩。 田中先輩は選手紹介（？）を済ませると、リング下に降りて、これまたどこから取り出してきたのか、ゴングを 「レディー、ゴー！」 と言いながら叩いた。 さっきまでは無我夢中でスパーリングしていた私だけど、今は他の先輩たちもリングに注目している。緊張して体が固くなってしまった。それが原因で簡単に橋田先輩に倒された、と言い訳したいところだけど、本気モードの橋田先輩相手では、たとえ緊張して無くてもやっぱり簡単にマットに倒されていただろう。私の体を面白いように弄びながら 「あれくらいのギャラリー相手に緊張してどうするの？ 本当の試合はもっとたくさんのお客さんに見られるんだよ」 と耳元で言う橋田先輩。完全に見透かされている。 「さっき中谷に言われたように、コーナーポストからリング下に飛び降りて度胸つけたほうがいいぞ」 |
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