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8R 道場パート2

えてもらって。ゴメンね」
 と苦笑混じりに言った。そして水野さんと中谷さんに
「受身を重点的に教えてあげて。上手く出来るようなら実際に技を掛けてそれで受身をさせてね」
 と言う。
 ……実際に技を掛けられるの? 受身の練習だから投げられるわけ? 私は顔が引きつって冷や汗がタラリと流れた。

 最初、受身の基礎の説明を教えてもらう。
 その間晶ちゃんはブツブツ言いながらスクワットをしていた。

 そして、いよいよ実技。水野さんは怪我のため今は受身が出来ないので見ているだけだったけど、中谷さんは私と一緒に後ろに倒れこんで受身を取った。
「なんだ、山神。上手いじゃないの。やっぱりそれも見よう見まねなの?」
 タックルに関しては松田さんと南さんに教えてもらってはいたが、受身は紛れもなく見よう見まねだ(以前中谷さんに教えてもらうはずだったけど、寸前に中谷さんが腰を痛めた過去があるので)。
「じゃあ、サードロープ(リングを囲むロープの一番下のロープ)に乗って、その高さからマットの方に倒れて受身とってみて」
 このパターンは初めてだ。中谷さんが見本を見せてくれたけど、自ら受身は抜群に上手いと言い切っているだけあって、いかにも簡単そうにやって見せた。いよいよ私の番だ。
「あ、あのう、このマットに直接受身を取るんですか? クッションとか無しに……」
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