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7R 新人戦

ないけど。平然と下の方で妥協してる人よりは、ナンバーツーでも結果を出し続けているからね。マッチメーカーで尚且つチャンピオンの沙希さんがベルトを取られるのを恐れてタイトルマッチを組まないって思ってるファンがいるから言えることなんだけどね。そういったイメージがあるから、むしろ同情してるファンのほうが多いんじゃないの。解るファンだけ解ればいいって結構カッコイイと私は思うな」
 じゃあ、ベルトは沙希さんが持っているけど、真のナンバーワンは自分だというのをアピールするためにあえてベルトに挑戦しないのかな。だとしたら、すごいしたたかな人だ。


 そしていよいよ『ニューホープカップ』シリーズ、開戦。
 中谷さんは初戦の相手、紺野さんを相手に、完全に互角以上の試合を展開した。中谷さん自身のシリーズの日程を考えたら、最初から飛ばしすぎなんじゃないか、と思うくらい積極的な試合を見せていた。とはいえ、相手の力を逆に利用するパターンが多かったから、少しは考えているのかな。例えば突進してくる紺野さんの勢いを、そのまま柔道の巴投げで切り返す、という感じだ。試合中、何度も「あわや」というシーンを見せてくれた中谷さんだったが、最後はプロとしての場数の差が出た形となった。中谷さんが相手の後ろから胴を足で締め上げながらのスリーパーホールド(後ろから相手の首に腕を巻きつけて締め上げる技。ノドを締めるとチョークといって反則を取られるので、頚動脈の方にダメージを与える。場合によっては即失神させる事も出来る技でもある)でとどめを狙ったのだが、紺野さんは必死の形相で胴に回された中谷さんの足を取っての関節技(レッグロック)で強引にギヴアップを奪ったのだ。
「ちくしょー! 負けちゃったよぉ!」
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