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7R 新人戦収めてるから、一部のマスコミは女帝とまで呼んでる位だし」単にパワーとかテクニックがあるだけではチャンピオンにはなれない。精神的にもタフでないといけない、とよく言うけど、沙希さんはその辺はそういう形で克服しているのか。 「それにね、私、自分でいうのもなんだけど、テレビ局側の人には結構人気あるのよ。本当は今すぐにでもベルトを私に取って欲しいんじゃないかしら? でも、なんで私なんかが人気あるのかなぁ」 そう言いながら森山さんはクスリと笑った。 森山さん、あなたは自分で気付いてないだけです。テレビ局は中継番組を作る関係でマニア的な見方をする人が多いところに森山さんのテクニックはまさに玄人好みです。しかもルックス的にも沙希さんとはまた違った大人の魅力もあるし。さらに今の笑った顔はすごいチャーミングですよ……。 以前の沙希さんの森山さんに対する『もう少しトップへの欲があれば』という言葉が私の頭の中に浮かんだ。でも、単純に実力的には森山さんが上だとしても、沙希さんにはタイトルマッチに対する“開き直り”がある。二人のタイトルマッチがもし組まれたら……。私には全く勝者は予想できない。 「森山さんねぇ、社長がトップでバリバリだった頃はナンバーツーの位置にいたのよ。そのころ沙希さんはまだ駆け出しの若手だったんだけど。でも、いざ沙希さんがトップになった今もナンバーツーの位置に留まるのは、その方が居心地がいいと無意識に感じてるんじゃないかな」 私が森山さんとの会話を話すと中谷さんが言った。 「悪く言えば妥協してるんだけど、それが絶対悪いことなんて誰にもわからないしね。でも、どんなに汗水たらしてもトップになれない人がゴマンといるのに、のほほんとマイペースにナンバーツーをキープしてるのは面白くないって感じてる選手も結構いると思うよ。ま、私は森山さんのような生き方は嫌いじゃ |
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