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7R 新人戦

 えぇ!? いきなりソレ!? しかも相手は前座トップの一人、水野さん!?
「あの、私、技とか何も知らないから、スパーリングと言われても何をしたらいいか……」
「何か出来るなんて期待はしてないから。とにかく何でもいいからやってみなさい。技を覚えるのはそれからよ」
 私は恐る恐るリングに上がった。
「私は取り合えず受けに回るから、どっからでもかかってきな」
 水野さんが余裕の表情で私に声をかけた。
 私は何をどうしたらいいのか解らずにリング中央の水野さんの周りをぐるぐると回っていた。
 躊躇している私に痺れを切らしたのか、リング下から沙希さんが
「愛ちゃん!」
 と叫んだ。
 もう破れかぶれだ!
 私は水野さんの両足に向かってタックルをした。その時、余裕たっぷりだった水野さんの目が驚きの色が変わった事に、私は気付かなかった。

 バーン!

 何故か道場が静まり返った。
 あれ? みんなどうしたのかな? 私、やっぱり変な事したかな?
 私がオロオロしていると、沙希さんが
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