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7R 新人戦

 そして夕食時。
 先輩がテーブルに並んだ皿を見て
「なに? 今日はヤキソバ? それにしては麺が細いし透明っぽいな」
 と私に聞いてきた。
「いえ……、ビーフンです……」

 そして次の日。
 いよいよ練習が再開だ。入門した当初はハードな世界に体が対応できなくて、レスラーになるための体を作るどころか逆に痩せてしまった私だが、今ではその体重も戻りつつある。普通の女の子だったら痩せた所で喜んで、今の状況はリバウンドしたって騒ぐところかな。
 今日も私は沙希さんとマンツーマンでスクワットやプッシュアップなどの基礎トレに励んでいた。決して楽ではないが、それでも死にたくなるほど苦しいというわけでもなかった。量的には入門当初よりはかなり多くなってはいたけど、やはり、体が順応してきたのかな。
 トレーニングも一段落して一休みしているときに、沙希さんがなにやらリング上の水野さんに話し掛けているのが見えた。水野さんは頷くと、私に向かって
「おい、山神、いっちょやってみる?」
 と声をかけてきた。
 やってみるって何を?
 私がキョトンとしていると、沙希さんが手招きした。
「愛ちゃん、スパーリングよ。今日からリングに上がる事を許可するわ」
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