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7R 新人戦

 私は納得すると、晶ちゃんの部屋に向かった。

「晶ちゃん、やっぱりあなたがご飯を炊いて。お米はちゃんと研ぐのよ」
え? 研ぐ?
「そう」
……ふゎ〜い……

 私が自分の部屋に戻ってしばらくすると、晶ちゃんが入ってきた。
「ちょっと、晶ちゃん。人の部屋に入るときはノックくらい……」
 という私の言葉を遮る様に
せんぱぁい、上手く研げないんだけどぉ
 と晶ちゃん。
「……はいはい、教えてあげるわよ」
 私は立ち上がった。洗剤でお米をダメにする事を考えたら教えるくらいは安いものだ。

 台所の様子を見て、私は愕然とした。
 なにやら“粉”が散乱して、そのそばに、包丁用の“砥石”が転がっていたのだ。
 まさか、これ、お米の粉?
 よく見ると、粉とは別に元はお米だったであろう“つぶつぶ”もあった。
 こんなになるまで研いで……、日本酒でも作るつもり?
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