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6R 前座戦線

晶ちゃんもたいしたもんよね。

「何が“てゆーか”よ、何が“じゃん”よ、何が“チョー”よ、何が“バリ”(これは言って無い)よー!!」
「愛ちゃん、間違ってたらごめんね、気のせいか怒ってるように見えるんだけど……」
「気のせいじゃ無くてマジで激怒してんのよ!! って……、あ……」
 中谷さんだ。
「す・済みません、ちょっと気が立ってたもんで……」
 中谷さんは目を白黒させてる。
「あの……、晶ちゃんはちょっと……、私の手に負えない娘だなぁって……。だから、その……」
 必死に弁解する私。
「私も、昔ギャルっぽいカッコしてたことあるよ。髪も金髪にして、ルーズソックスのミニスカでさ」
 中谷さんの意外な過去。
「でも高校の頃は柔道に明け暮れてたんじゃ……」
「三年生で部活引退してからだよ。ま、あくまでカッコだけだけど。それが今じゃ髪も真っ黒に戻してね。愛ちゃん茶髪じゃない。愛ちゃんよりよっぽど真面目ね、なんちゃって」
「あ、これ、脱色とか染めたんじゃないんです、天然なんですけど……」
 これは本当で私は生まれつき少し髪が茶褐色だったりする。
 何はともあれ中谷さんのお陰で少し落ち着いた私。

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