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5R 巡業

 沙希さんがやった技を凄い必殺技と思っていたんだけど、他の人は“必殺”になってなかったのが気になってた。
「それは沙希さんがヘタだから、かえって打ち所が悪か……」
 言いかけたところで沙希さんに後ろからどつかれる中谷さん。
「ったあ! 沙希さん本気で撲ったあ!」
 そんな中谷さんを沙希さんは完全に無視した。
「試合の大半攻められっぱなしだったから、きっと松田さん、攻め疲れの状態だったんじゃないの? ダメージの蓄積度やスタミナの残量、あと、精神的なパニック等々で、場合によってはどんな技でもフィニッシュになりえるから」
 確かに完全にグロッキーの状態なら指でチョンと突いただけでも倒れることはありそうだな。
「他に気付いた事は?」
「試合を重ねるごとに技が派手になってきたみたいです。休憩前なんかは技的には地味なのばかりで、でも気迫は凄く感じました」
 沙希さんは大きく頷いた。
「このへんはウチは徹底してるからね。前座は派手な大技を一切禁止してるの。第一試合から大技連発だとメインの頃にはお客さんも疲れちゃう。お客さんの期待や興奮を徐々に上げていって、メインでドカンと爆発して貰うためよ。そこでメインをシメるのは……」
「自分だって言いたいんでしょ、沙希ちゃん」
 沙希さんと同じ位の身長のロングの黒髪の切れ長の目の綺麗な人がいつのまにか沙希さんの
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