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5R 巡業

なんかあったらそれなりに指示が来るだろうし」
 なるほど、確かにセコンドはお客さんのリングサイド席以上の“超特待席”だ。プロレスを学ぶのにこれ以上の環境は無いだろう。
「でも客のように興奮しないように。練習生でも会社に養ってもらってる以上、ある意味プロなんだから」

 セミファイナルまでセコンドに付いた私は中谷さんと一緒に沙希さんの元に戻った。沙希さんは既に着替え終わって(二試合するということで水着も二着用意していた)、ウォーミングアップしていた。
「私との試合はアップにならなかったんですかぁ?」
「あっという間に終わったから体が温まるまでも無かったよ〜だ」
「大体デビューの相手なら少しは受けに回るもんですよ」
「やかましい」
 沙希さんと中谷さん……。本当に仲がいいんだか悪いんだか……。
「愛ちゃん、現場の人間として試合見てて気付いた事あった?」
 急に話を振られた。
「あ・あの、つまんないことでもいいですか? 沙希さんと松田さんの試合で、沙希さんが最後に決めた技……」
「ジャーマンね」
「ええ、その技を使う人他にも結構いるみたいですが、それが今日の試合では決め手になってないんですよ」
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