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4R 道場

 ほとんど脅迫だ。
「そういう訳では……」
 私は恐る恐るエプロンに上がり、一番下と二段目のロープの間からリング内に入った。
「愛ちゃんダメだよ、私のようなチビならともかく愛ちゃんのような大きな人は男子と同じようにトップとセカンドの間から入らないと。体を縮こませてリングインしたらお客さんに笑われるよ」
 言いながら一番上と二段目の間を広げて見せる中谷さん。
「はあ……」
 訳もわからず私は頷いた。
「じゃ、手本見せるね。最初に関係無いけど参考程度に柔道の受け身。あんまり自信無いけど」
「柔道なら中谷さんは専門でしょ?」
 中谷さんはチッチッチッと人差し指を横に振る。
「残念だけど私、試合で受け身取った事は一度も無いんだわあ」
「ふうん、そうなんですか」
 私の言葉に中谷さんは何故かずっこけた。
「こういう時は『自慢かよ』ってツッコミ入れてよぉ! 言ってて恥ずかしいじゃない!」
 突っ込んで欲しかったんだ……。
「す・済みません」
「もういい、柔道はやめやめ。プロレス式受け身やるよ」

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