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3R 入門

「お疲れ様。本当は入門が決定してから作るからしばらくは自前のジャージ使って貰うんだけど、愛ちゃ んなら大丈夫と思って先に作っておいたわ。これからはこれを着てね」
 沙希さんが大の字になっている私のそばに置いたのはNJWPのロゴの入ったジャージ・トレーニング ウェア・Tシャツの三点セットだった。
「グッズショップや売店でも同じデザインのは売ってるけど質が違うのよね。これを着れるのはレスラー か練習生だけ。愛ちゃんもこれでNJWPの一員、私とも仲間だね」
 中谷さんがにっこりと微笑んだ。私はなんとかひきつりながら微笑み返した。
「愛ちゃん、その顔恐いよ」

 こうして上京一日目は終わった。しかしそれは、例えるなら地獄の入口に立っただけに過ぎなかった。 テストに不合格だった方が良かったという思いが頭を過ぎったのも一度や二度ではなかった。








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