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2R スカウト

 と言いかけた私の言葉を沙希さんは遮った。
「プロレスはショーだよ」
「……え!?」
 一瞬面食らった私だが、沙希さんは平然と続けた。
「だってお金を貰って人に見せているでしょ。これをショーと言わずして何がショーかしら?」
「え、あ、その……」
「野球だろうとサッカーだろうとボクシングだろうと、プロスポーツはみんなショーよ」
「ショー、イコール、八百長って訳じゃないんだ……」
「そうよ。愛ちゃん、今日の試合、八百長に見えた?」
 私は首をブンブン横に振った。
「見た上で八百長と言われてしまったら仕方ない、その人にプロレスは合わなかったんだって思えるけどね。でも、見もしないで八百長呼ばわりする人が世の中には多いんだよね」
 沙希さんは自嘲気味に笑った。
「八百長には見えなかったですけど、……怒らないで下さいね、腑に落ちないことがありました」
「なにかな?」
 沙希さんは相変わらず口をモグモグさせながら聞いた。
「ロープに振られたレスラーは何でわざわざ帰って来るんですか?」
「え? フフッ、あはははは!」
 いきなり笑い出したので私は目をパチクリさせた。
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