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プロローグ

「タッパーウェアと思ったのね。ゴメンゴメン。そうよねぇ。普通は使わない言葉だからね。どのくらい身長あるのか聞きたかったのよ」
「身長ですか。178センチあります」
「わぁすごい。じゃあバレーとかバスケとかやってるのかな」
「え、いえ。ただの体力馬鹿ですから」
 私の体力馬鹿という言葉に彼女は一瞬嬉しそうな顔をした。そしておもむろに私の腕を掴んで、しばらく撫でまわしてニヤリと笑った。
「見た目スタイルは良さそうだけど、体重はあるでしょ」
 ドキッ。確かに見た目は50キロそこそこに見えるらしいけど実際60キロを軽く超えているのだ。
「もともと脂肪がほとんど無いほど痩せてたんです。筋肉だけで今の体型になれたようなものだから」
 私としては弁解したつもりなのだが、彼女はますます嬉しそうな顔になった。そしてバッグからなにやら紙を取り出して私に差し出した。
「よかったら今夜付き合わない? 後で食事くらい奢るわよ」
 見るとプロレスのチケットだった。そういえば最近あちこちにポスターが貼られてたかな。
「女子プロレス……。プロレス、好きなんですか?」
 彼女がこのチケットの大会に出場する選手──山吹沙希──という事も知らない私の問い掛けに一瞬目を丸くする彼女。
「ウ・ウン、まァね。最近は女の子もよく会場に来てるしね」
 私が知らないのに正体を明かさずに話を進める彼女。
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