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2:裁きの草カルロスと圭介は、フラフラと徨っていた。歩いているのは街の中なのだが、二人の目には熱帯の原生林が映っていた。ジャングルが開けて、目の前に巨大な川が広がる。カルロスが大声を上げた。 「ケイスケ、見ろ。ここはアマゾンだ」 「なんだって?」 「ヒャッホー! アマゾンだ! 俺は戻ってきたんだ!」 「待て! カルロス!」 圭介が叫んだ瞬間、目の前に巨大な石像が現れた。まるで神のような、そして悪魔のような──。 カルロスはその石像を見つめる。その様子に異変を感じた圭介は、カルロスの顔を見た。 目から涙、鼻から鼻水、口から唾液をだらしなく垂らして恍惚の表情を浮かべていた。 圭介の脳裏に黒づくめの男の言葉が浮かんだ。 『死はこの世の何よりも魅惑的だ。死に惑わされるな……、引き込まれるな……』 カルロスはまるで魅入られたようにその石像に向かって歩き出した。 「だ・だめだ、カルロス!」 圭介はカルロスの前に回りこみ、石像に向かうカルロスを押さえようとする。 「見ちゃだめだ! 見るな! 目をそらすんだ! 簡単だろ!?」 しかし、圭介の声はすでにカルロスの耳には届かなかった。 カルロスは圭介を振りほどいた。なぜかカルロスは着ていたはずの衣類がすべて無くなって、全裸に、腰にタオルを巻いた姿になっていた。 |
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