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2:裁きの草

「なぜ……俺が……案内人だと……」
 顔中脂汗を垂らした圭介が、同じく脂まみれのカルロスに聞く。
「案内人は……啓示によって決められる……。俺は……ケイスケの夢を見た……」
 そこに、黒づくめの男が血相を変えて飛び込んできた。しかし、カルロスの姿を見てがっくりとうなだれる。
「遅かったか……。確かに私は酋長に言われてお前を追ってここまで来た……。だが、私はお前を助けたかった……」
 男の声が聞こえているのか聞こえてないのか、カルロスと圭介はフラフラと夢遊病のように部屋から出て行こうとする。
「最後に一つだけ言わせてくれ……。死はこの世の何よりも魅惑的だ。死に惑わされるな……、引き込まれるな……」


「ヘイ、カルロス! なに目を真っ赤にしてるんだ?」
「なんだ、自分達だけで楽しんでるのか? 俺にもクスリ分けてくれよ」
「カルロス!」
  「カルロス!」
    「カルロス!」

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