もどる

2:裁きの草

「カ・カルロス!?」
 圭介は叫んだ。が、カルロスは圭介を見つめると
「ケイスケ。お前も吸ってくれ。お前は俺の“案内人”だ」
 と、呟くように言った。
 圭介は恐る恐る草を口にくわえた。そして火をつけた──。


 地下バー。黒づくめの男が圭介の友人に詰問している。彼が例のアタッシュケースを持っていたからだ。
「マリファナによく似た草があったろう!?」
 しかし、彼は薄ら笑いを浮かべたまま
「知らねぇよ。このケースは友達に貰ったんだ」
 と答える。
「その友達っていうのは……!?」
 彼はニヤニヤ笑うだけで答えない。
 黒づくめの男はポケットから札束を取り出し、彼のポケットにねじ込んだ。
「酒代の足しにしてくれ。──頼む! 友達を失いたくないだろう!?」
 黒づくめの男の剣幕に、圭介の友人の顔からは、さすがに笑みは消えていた。

前ページ
次ページ