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2:裁きの草

「ンな訳ないだろ? ケイスケは今日アメリカに着いたばかりだぜ?」
 圭介が言う前に友人が答える。
「そうか……。気のせいか。……酔っているのか? 上がって休め」
 カルロスが言いながら、圭介に肩を貸す。
「なあ、カルロス。コーク(コカイン)無いか? 上のパーティーのは質が悪くてね」
「生憎だ。今日はなにも無い」
 カルロスは言いながらドアを閉めた。廊下に残された圭介の友人は、チッと舌打ちしてパーティー会場のバーに戻っていった。


 翌朝、圭介はカルロスの部屋のソファーで目が覚めた。出かけたのか、カルロスの姿はどこにも無い。ソファーの前の机の上にメモが置かれているのに気付いた圭介は手に取って読んだ。

『Amigo! How are you? Are you hungry? The pizza on a table is Keisuke's thing. Carlos(アミーゴ! 気分はどうだ? 腹が減ったろう? テーブルのピザはケイスケの分だ。 カルロス)』
 キッチンのテーブルに目を移すと、メモに書いてあるとおり、ピザが置かれていた。



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