もどる

2:裁きの草

「……シャワー浴びながら寝てしまったようだな……」
 バスルームの彼は重い頭を押さえながら立ち上がる。

 ピンポーン

「呼び鈴の音がする……」
 彼はタオルを腰に巻いてバスルームから出ようとした。が、背後から視線を感じて振り向く。
 湯の張られたバスタブに、東洋系の男の顔が浮かんだように見えた。


「あれ? いないのかな? お〜い、カルロス〜?」
 言いながら呼び鈴を鳴らす圭介の友人。
 と、いきなりドアが開け放たれた。腰にタオルを巻いた大男が出てくる。
「あ、なんだ、カルロス、フロに入ってたのか、悪かったね」
 男──カルロス──は友人の言葉に耳も貸さずに、圭介の顔をじっと見つめる。どこかで見たような気がした。
「お前……、どこかで俺に会わなかったか?」
 カルロスが圭介に問う。

前ページ
次ページ