もどる |
最終章・後編「星来……」ミノルは思わず星来の遺影に語りかけていた。自分自身驚くが、なぜか口は止まらない。 「お前はやっぱりプライドの塊みたいな女だな。何も言わずに死んだのは、死に目を俺にだけは見せたくなかったからだろう? そういったプライドの高さは出会った頃からちっとも変わりが無いな……」 苦笑交じりに言うミノル。付き合うことになった時のやりとりは今でも鮮明に覚えている。 「アンタ、私の事嫌いなんだろ? 謝る事無いよ。私もアンタの事嫌いだから」 「……確かに付き合い始めた頃は俺はお前の事が心から嫌いだった。でも、今ははっきりと言える。俺が今まで付き合ってきた女の中でも、お前が最高だったよ。お前は俺には過ぎた女だった……」 「そっか、私、勝ったんだ…。ついにアンタを好きだって認めさせる事に成功したんだ…」 「一応ゲームの決着はついたけど、はっきりとは言ったことは無かったよな。生きている間に言えなくて悪かったよ。……愛してるぞ、星来……」 その時ミノルの目には、星来の遺影の顔から悲しげな表情が消え、普通の笑顔になったように感じた。一瞬気のせいかという思いが頭をよぎるが、すぐにその考えを打ち消す。 「そっか、嬉しいか……。とうとう俺の口から愛してると言わせたんだもんな。まあ、はっきり言ってしまった以上、ゲームの勝ちはお前に譲るよ」 |
前ページ 次ページ |