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最終章・後編

「でもね、星来……」
「赤ちゃんと一緒に元気にアイツのところに帰ってビックリさせたいから……。お願い、聞かないで、お母さん」


 星来の母親はここまで話すとミノルの目を見た。次の言葉を言ってもいいかと聞いているように見えた。ミノルは無言で頷く。
「赤ちゃんは……、駄目でした……」
「そ・そうですか……。で、俺……僕の住所が解ったということは星来さんから聞けたわけですね……?」
 ミノルは、子供が死んだのは残念だけど、星来さえ無事ならもう何もいらないと思った。しかし、星来の母親の次の言葉はミノルにとって残酷な一言だった。
「ええ。病室のベッドの布団の下にメモが残されてて……」
「残……されてた……?」
「星来も……助かりませんでした……」
「……!?」
「ミノルさんの住所が解ったのは星来が死んだ後だったんです……」
 ミノルは聞きたくないとばかりに首をブンブン横に振った。
「言ってる意味がよく解りませんよ! 変な事言うとおかあさんでも許しませんよッ!」
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