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最終章・前編

「あ、いや、星来の考えどおりでいいよ。子供を産むのはお前なんだから、この件に関してはお前に従うから」
「そう、悪いね。変なわがまま言ってさ」
 星来は言いながらミノルの隣に腰をおろした。
「その代わり、遅くとも子供が幼稚園に行くまでには結婚するぞ」
「解ってる。それよりもさぁ……」
「なんだ?」
「男の隣に女が座る、こういう場面では男は恋人の肩を抱くもんだぞ」
「……やなこった」
 手を回されたらつねってやろうと思っていた星来はチッと舌打ちした。


 次の日、朝から星来はなにやらソワソワとしていた。
「どうした? 我慢してないでとっととトイレに行けよ」
 ミノルが声をかけると、星来は即座に拳をミノルの顔面に炸裂させる。
「お・おい、空手はやめろって言ったじゃないか」



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