もどる

最終章・前編

 咳き込みながら
「……いやにあっさり白状するんやね……」
 と言うが、星来は
「隠す必要ないじゃん」
 と一言。
「ま・まあ、とにかくおめでとう。じゃあ近いうちに入籍するんかぁ……」
「う〜ん、アイツはそのつもりなんだけどね……」
「え? 結婚せぇへんの?」
 星来は腕組みをしたまま答えなかった。


 星来が帰ってみると、ミノルもちょうど帰ってきたところだった。
「いやあ、参ったよ。出来ちゃった事、直子にバレちまった」
 ミノルが言うが、星来はキョトンとして
「え? 隠した方が良かったのか? 恵ちゃんに聞かれたから答えちゃったけど?」
 と言う。今度はミノルがキョトンとした。
「……なに呆けた顔してんだよ。いずれ解るんだから、今から言っても同じだろ?」
「そ・それはそうだけど……。そういうのは、婚姻届出して内輪で集まった時まで伏せといた方がいいと思ってたから……」
前ページ
次ページ