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最終章・前編ウケる事こそ人生、さすが関西人の恵である。星来は何を言っても無駄だと思ったのか、何も言い返さずに頷いた。「で、今日はどうしたのかな?」 「星来ちゃんが店やめてから、話せる相手がおらへんねん。なあ、戻ってきてくれへん?」 恵は現在、店で孤立している。キャラクター的に浮いてしまうのだろう。 「……職場復帰して欲しいって事?」 「そう!」 「ゴメン。それだけは出来ない相談だよ」 星来の返事を聞いた恵は、最初からそう返ってくることを予測していたのか苦笑いして頷いた。 「そう言うと思っとったわ。そやけど、何でやめたんや。確かミノルはんと恋人宣言してからすぐやんか。いざ本当の彼女になってからはそういう仕事はやめて欲しいとかって言われたんかな?」 「いや、そうじゃない。アイツがそういう人間でない事は私が一番解ってるから」 恵は「ごちそうさま」とでも言わんばかりに星来に向かって手を合わせた。 「そっか。解った。でも、お店やめてもずっと友達やんな?」 恵の言葉に星来はわざとふざけて 「さぁ? それはどうかな?」 と答える。 「え〜ん、フラれてしもたぁ」 うそ泣きをする恵に対して、星来はめずらしく調子に乗った。 |
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