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最終章・前編

「そっか。じゃあ、ゲームの決着イコール正式に付き合う、じゃなくて結婚、なんだね?」
 直子の言葉にミノルは苦笑して頭をかいた。
「……まさか、俺が出来ちゃった結婚するとは思ってもみなかったけどな……」
「なるほどねぇ。ま、そういう事情を知ってしまったからには、ミノルには一銭も使わせないよ。ここはあたしのおごり。文句無いね?」
 悪戯っぽい微笑は相変わらずだが、その中に僅かながら優しさが感じられる直子の言葉に、ミノルは頭を下げた。
「解った。本音言うと助かる。現時点で二人の生活が俺の収入にかかってるわけだけど、来年の今ごろは三人の生活になるわけだし、今のうちにある程度貯めておきたいから」
「賢明な判断ね」


 一方、こちらは星来。恵に呼び出されて、彼女の職場(かつては星来の職場でもあった)近くのハンバーガーショップに来ている。
「いらっしゃいませ!」
「ポテト」
「……は?」
「ポテト」
「か・かしこまりましたぁ!」
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