もどる |
第十章「よし! 産むぞ!」星来も即答する。 思わず顔を見合わせて二人は吹き出した。笑い終わっても二人はしばらく見つめ合っていた。そして、付き合い始めて以来、“初めて”唇を重ねる。 「星来とのキスは……胃液の味がした……ってか」 思わずこぼしたミノルの言葉に、星来はキッと睨んで(のふりをして) 「今度つわりが来たら口移しで吐いてやる。空手は出来なくても私にはそういう武器があるからね」 と言った。そして、心から嬉しそうに微笑んだ。 数日後、二人は直子と恵と崇広を呼び出した。星来が妊娠した事は伏せてはいたが、それ以外の事のあらましを三人に説明する。 「……そういう訳で、俺と星来はお互いのことを好きだという事でゲームの決着はついたから」 とミノルは言葉を結ぶ。 「あのねぇ、そんなことずっと前から解ってたって」 それまで黙って話を聞いていた三人だが、直子がため息をついて言う。 「そうそう。今更なに言うてんねん」 恵もその後に続ける。 |
前ページ 次ページ |