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第十章

 急に話を振られた星来は目をパチクリさせながら
「え? あ、うん」
 と答えて、そこで初めて赤ん坊に気付く。
「わ、可愛い!」
「反応が遅いぞ、星来」
 ミノルの言葉に
「いや、何かを抱えてるな、とは思ってたけど……」
 とバツ悪そうに頭を掻く。
 ミノルは真面目な顔をして直子に向き直った。
「直子」
「な、なに? 急にマジになって」
「悪い事は言わん。警察に行け」
「はあ~? なんで?」
「俺はお前が乳児誘拐なんてするようなヤツだとは思ってなかった。友として悲しいぞ」
「……な……?」
 直子が反応する前に星来の足がミノルの後頭部にめり込んでいた。
「あ、星来ちゃん、ありがと」
「どういたしまして」

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