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第十章

 ある日の昼過ぎ。

 ピンポーン

「ん? だれだ?」
 ミノルはテレビの音量を下げて立ち上がろうとするが、ちょうどその時ユニットバスのトイレから出た星来が
「あ、いいよ。私が出るから」
 と言ってドアを開けようとした。
 ミノルはテレビを消して
「NHKならウチにはテレビは無いと言ってくれ。あと、新聞を含めてありとあらゆる勧誘の類にはいらないと言えよ」
 と声をかける。星来は
「了解」
 と答えてから小さく「ケチ」と呟いてドアを開けた。
「あ、星来ちゃん、やっぱりこっちにいた!」
 必要以上に騒がしい声が聞こえたミノルは
「ドアを閉めろ! 絶対ヤツを部屋に上げるな!」
 と叫んだ。
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