もどる

第九章

「じゃ、電気消すぞ」
「おう」


 翌朝、ミノルはカーテンの隙間から差し込んでくる朝日に目を覚ました。体調はほぼ元通りになっていた。
「ん……! これならもう病院に行かなくても大丈夫かな……。でも無理矢理連れて行くんだろうな……」
 と、起き上がろうとした。しかし、布団に何か乗っているのか、重く感じる。
 見ると、星来がベッドの縁に両肘を置いて、そこに顔をうずめるようにして寝ていた。星来の肘が布団を押さえつけていたのだ。
「こいつ……。床で寝るとか言ってたんじゃないか……?」
 床に敷いていたはずの毛布は、星来自身の背中にかかっていた。自分でやったのだろう。
 ミノルはフッと笑みをもらすと、布団を星来とは反対側の方を上げて体を起こした。そしてポンと星来の頭に手を置く。それに気付いた星来があくび交じりに目を覚ます。
「……ん? ……あぁ、起きたのか、おはよ……」
 眠い目を擦りながら星来は伸びをした。
「さ、今日は俺を病院に連れて行くんだろ? さっさと起きろよ」

前ページ
次ページ