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第八章

「とにかくベッドに寝かせてやらんとな……」
 と言いながらミノルが星来を抱き上げたところで
「お姫様だっこだ!」
 思わず叫ぶ直子だが、ミノルがキッと睨むと、シュンと小さくなる。
 ミノルの職場も、給料日明けでは客数がかなり多いので、星来がなぜここまで疲れているかはなんとなく理解できる。
「おい、直子、毎月二十五日以降は絶対に旦那とケンカはするな。もししても星来のところには迷惑かけるなよ。仮にも俺の彼女なんだからな」
 ミノルの言葉に、直子は「“仮に”じゃないでしょ」と思ったが、ここは素直に
「わかった。ケンカした後で気が立ってたからそこまで気を回す事出来なかったけど、今後は気をつける」
 と頷く。
 ミノルは、星来をベッドに寝かしたところで
「こいつ、思ったより重いな……」
 と呟いた。
「そりゃ、あたしよりも背も大きいからじゃないの?」
 直子の言葉にミノルは答えずに、直子の腕をグイと掴んだ。
「え? なに?」

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