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第八章ミノルは、なぜ星来が一緒なのかと一瞬怪訝そうな顔をするが「あ、そういう土産ならいらない」 と答えた。 「遠慮しなくていいから」 「いや、遠慮じゃなくて、マジでいらん」 そう言ってから、拳が飛ぶか、足が飛ぶかと身構えるミノル。しかし、星来は既にそういうリアクションが出来る状態ではなく、疲労も限界値まで来ていた。 「も、何でもいい……。寝させて……」 その言葉を最後に、星来は立ったまま眠ってしまう。当然バランスが崩れるが、直子はスッと避け、星来はミノルに向かって倒れこむ形になった。 「うわっ! ととと……」 ミノルは慌てて星来を抱きかかえた。星来は既に熟睡体勢で、目覚める気配も無い。 「愛しい恋人を抱きしめる彼氏! いいもの見せてもらった!」 直子は冷やかすが 「おい、こんな疲れきってるのを引きずりまわすなよ」 というミノルの言葉には素直に 「ごめん」 と謝った。 |
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