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第七章「甘いよ。店に置いてある電話は、掛けてきた相手の番号が表示されるんだから。間違いなく恵ちゃんの家から電話を掛けたと店に思わせるためには、この位のアリバイ工作は必要なんだ」「……なるほどなぁ……」 恵は言いながらも「星来ちゃん、手馴れてるな」と思った。 「ま、なんにしても、これで万事オッケーよ」 「お・おおきに。……それで、ミノルさんの家に押しかけるって言うんは……?」 恵の言葉に星来は目の色が変わった。 「行くよ。押しかけるよ。そいでもって、朝までやりまくりだよ」 「まだ酔いが覚めてへん……」 ミノルの家。 帰宅して落ちついてからそろそろ寝ようとしたその時──。 ドンドンドン! ドアを荒々しく叩く音にミノルは一瞬心臓が止まりそうになった。 「な・なんだぁ?」 |
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