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第七章

「お・おおきにぃ! このご恩は一生忘れへんわ」
「そんなオーバーな……」
 星来は苦笑した。
 と、その直後──。
「うっ!」
 星来は急にお酒が回ったのか洗面台に顔を伏せた。
「大丈夫? 未成年なのに飲みまくるんやから。って私も同い年やけど」
 星来の背中をさすりながら恵が心配そうに声をかけた。星来はゲーゲー吐いている。
「……もしかして妊娠でもしたかな?」
 冗談半分に言う恵の言葉に、星来は思わず「んぐっ!」と吐きかけた汚物を飲み込んでしまう。
「そ・それは無い、絶対に無い! アイツと付き合い始めたときのだとしたらもうとっくにお腹が膨らみ始めてるだろうし、この前店にアイツを連れて行った日の店が終わった後の私の家での時だとしたら余りにも早すぎる、どっちにしても計算が合わない!」
 星来はここまで一気に言うと、再び顔を伏せて吐き始めた。恵もその動きに合わせて背中をさする。
「冗談に決まってるやろ。それにしても、私と崇広よりも長く付き合っとるのに、今までたった二回だけなん? それはそれで由々しき問題やよ」
「……うるさいなぁ。これはこっちの問題だから口出ししないでよ。そんな事言うなら無断欠勤の件はもう知らないよ」
「あ、ゴメン、ゆるして〜」
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