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第七章

「なに?」
 星来は飲み屋のトイレで二人だけになると、珍しく満面の笑顔で恵に聞いた。星来も酒が入っているのか顔が少し赤くなっていた。
「星来ちゃんが飲み会やから休むっていうのは前々から店に言ってたやろ? だから私は星来ちゃんの分まで頑張ろうって張り切ってたのに、今日になって崇広にお前を紹介したいからって無理矢理引っ張られて、店に当欠の連絡入れてないねん。どうしよう」
「え? あ、そうか。無断欠勤は罰金の対象だからまずいな……。わかった。じゃ、こうしよう。今から私が店に電話かける」
 星来はそう言うと携帯を取り出して電話帳機能で店の番号を呼び出した。
「あ、お疲れ様です、メグミです。今日は休ませて頂いてありがとうございます。おかげさまでしっかり楽しめました。ところでセーラちゃんいます? ……え? 連絡も無しに休み? セーラちゃんはそんな無断欠勤するような人じゃないですよ? きっと何か理由があったんだと思います。じゃあ飲み会がお開きになったら、恵ちゃんの家に行って様子見てきます。はい、はい。お疲れ様でした」
 星来は通話が終ると、恵に向かってウィンクした。
「あとで恵ちゃんの家から、すごい高熱で電話もかけれないほどの状態だったって私が電話したらオッケーよ。明日は恵ちゃんはもともと休みでしょ? 明後日、御心配おかけしましたって出勤すれば大丈夫よ」


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